バルキング
曝気槽で糸状性微生物が大量に増殖することでバルキングが発生します。これは、原水水質に急激な変化があったときに起こりやすいことがわかっています。
糸状性微生物は環境の変化に強く、これに比べて、そのほかの有用微生物は変化に弱い性質があるので、糸状性微生物が優位になり増殖し、沈降不良となります。
ここをチェック
顕微鏡観察で糸状性微生物の種類や存在量(優占率)をチェックします。また、汚泥濃度により沈降性は大きく変化しますので、SVIという指標を用いて、評価するとより適切な汚泥管理ができます。SVについては、30分、60分、180分後の沈降具合を良く観察し、上澄み水の清澄や汚泥の凝集性、圧密性を観察するとより、汚泥の状況を詳しく知ることができます。
対応と改善策
- 原水の負荷を均一にする(調整槽や付帯設備:スクリーンや加圧浮上装置を改善)
- 原水の水質を再評価する(栄養バランスや負荷の把握)
- BOD:N:P=100:5:1のバランスであるかを検証する(不足分を補う)
- 曝気量や汚泥返送量、曝気槽の汚泥濃度やBOD汚泥負荷を調整する
- 毒物(殺菌剤など)や阻害物質、油脂類やBOD/COD比(難分解性有機物の把握)を再評価する。
有用菌に影響を与えず有害菌を駆逐できるようブレンドされたバルキング解消剤(外部サイトへ)
バルキングの原因・対策を検討し、抜本的改善のお手伝いをしています(外部サイトへ)
硝化脱窒素現象
タンパク質などを供給源として、アンモニア態窒素が処理系内に入ります。
曝気槽内で硝化菌の作用を受けて、「亜硝酸や硝酸イオン」へと変化(硝化反応)します。
沈殿槽で嫌気状態になると、窒素に変化し(脱窒反応)、それが汚泥に付着し浮上してきます。
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- 曝気槽でpHが低くなる
- 沈殿槽では比較的大きな汚泥の塊で浮いて、汚泥からは気泡が出る
- 処理水で窒素の値が異常値として出る
- SVをはかると、汚泥に亀裂が入って上部が浮く
- 汚泥に散水したり、叩いたりすると窒素が抜けてすぐに沈む
硝化脱窒が起きている現場の曝気槽水を、メスシリンダーに入れて静置させると、汚泥に亀裂が入って、上部が浮く現象が見られます。この場合、「硝化脱窒現象」により沈降不良が起きていることが確認できます!
対応と改善策
- 硝化抑制剤を使う
- 沈殿槽からの返送汚泥を増やして沈殿槽での滞留時間を短くする
- 流動担体あるいは紐状ろ材槽の設置(窒素分解の促進、ガスによる同伴浮上を抑制)
- 疑似嫌気工程や嫌気槽の設置
硝化によるpH低下や沈殿槽での沈降不良、汚泥の浮上を薬剤で防止・解消(外部サイトへ)
汚泥が腐敗した
沈沈殿槽で蓄積した汚泥が腐敗して硫化水素などが発生させ、それが気泡となって汚泥の塊を浮上させることがあります。汚泥掻き寄せ機に不具合がある場合やエアリフト配管の詰まり、デッドスペースの存在など、構造上の不具合による場合もありますが、多くは、曝気槽の方に問題があります(未分解の有機物の残存)。
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一般的に浮上汚泥は黒く、腐敗臭(下水臭)が出ます。残存有機物の種類(デンプンなど)などによっては、酸敗を起こし、嘔吐物臭を伴う場合もあります。
対応と改善策
- 設備的な不具合を調査する
- 曝気槽の改善を検討する(散気装置や微生物剤などによる処理能力強化)
- 最適な返送率を調査する
- 曝気槽の後段に紐状ろ材や流動担体の槽を設ける(処理能力の強化)
既存設備の見直しと既存設備を活かした排水処理設備の高機能化をご提案(外部サイトへ)
汚泥が解体した
曝気強度が強すぎる場合や沈殿槽の容積が小さすぎて、整流塔の能力を超え、汚泥が分散する場合や分散菌が優占し、良質なフロックができていない場合などで、沈降不良を生じることがあります。
ここをチェック
顕微鏡観察により、フロックの形状や分散菌の存在量を確認することで、判断できます。一般的に、過負荷により、処理が追い付かず、分散菌がフロック内に凝集吸着しないことにより、起きている現場が多くあります。放流水の透視度が悪く、白濁し、臭気があり、曝気槽のDOが中々上がらない状態が見られます。MLVSS/MLSSの比率が極端にずれている場合は、分散菌の影響があります。
対応と改善策
- BOD汚泥負荷を極限まで上げることができる処理方法の検討(膜分離活性汚泥法、流動担体槽など)
- 紐状ろ材を設置する(分散汚泥の吸着)
- 微生物製剤などによる処理能力の強化
- 多段曝気槽を検討し、大型の有用菌を増やす
汚泥の活性を促進させ、浄化能力増強、より良い活性汚泥に(外部サイトへ)
活性汚泥が活動しやすい最適環境を総合的にご提案(外部サイトへ)